会計とサステナともなか

会計とサステナを中心に考えたことを公認会計士が書くブログです。所属する団体には関係なく、個人の意見です。

「連携会計システムの導入マニュアル」(中央経済社)を読みました

こんにちは。今回は、最近読んだ本のご紹介です。

 

飯塚 幸子・角野 崇雄 著「連結会計システムの導入マニュアル」中央経済社

www.biz-book.jp

 

以下、感想です。

 

全体的にわかりやすく丁寧に記載されているが、連携会計の基礎知識は必要

この本は、連結会計を学びながらシステム導入を考える本なのか、連結会計の知識のある人がシステム導入を学ぶ本なのか、どちらかなと考えながら読み始めましたが、後者です!

このため、連結会計の知識が少ない人は、先に(飯塚先生の別の本で)連結会計を学んでからの方が、理解が深まると思います。

連結会計を学ぶ本ではなく、連結会計システム導入のための本(タイトル通り)ということです。

 

連結会計システムの導入に役に立ちそうか?

実務者にはかなり参考になるのではと思います。全体的に優しめに丁寧に書かれているので、ある程度連結会計の知識があったり仕組みを理解している人は、全体は流して読んで、必要なところや自分の理解の浅いところを読むと効果的に読めそうです。

一般的な実務書と同じですね。

連結会計システムを利用しているとたまに発生する謎の差異の主な要因の例示がされていて、良いです。

また、キャッシュ・フロー計算書の説明は個人的にかなり参考になるのではと思いました

製品比較の表は、実際はもっと差があるのではと思いましたが、ざっくり比べたら記載の通りなのか、ここは経験がないので何とも言えません。

 

まとめ

連結会計の知識のある実務担当者が連結システムの導入検討・導入後に利用するのはもちろん、連結システムに慣れていない担当者が読むのもよい本だなと思いました。

おすすめです!

 

 

日本の主要大企業はIFRS基準移行済みなのか調べてみた

こんにちは。今日は、日経新聞さんのこちらの記事のThinkという編集委員さんのコメントで「日本の主要大企業はすでにIFRSに移行」と記載されていて、そうなんだ~!と思ったので、実際に調べてみました。www.nikkei.com

 

個人が趣味で行っている集計なので、粗い点(元データの時点が6月末と7月8日で混在、時価総額の算定方法の差異の有無は未確認、IFRS適用会社の時価総額は後述の時価総額ランキング1,000社に限定しています、計算において百万円未満は無視)はご容赦ください。
誤りがあればコメントで指摘いただけると嬉しいです。

 

 

集計元データ

IFRS適用企業

日本取引所グループで公表されているIFRS適用済・適用決定会社一覧 | 日本取引所グループから、2025年6月末現在のIFRSを適用している会社、適用して上場した会社、適用が確定している会社、合計294社を使用しています。

 

各社の時価総額

Yahoo!ファイナンス日本株ランキング(時価総額上位) - Yahoo!ファイナンス(更新日時2025年7月8日 18:40)の上位1,000社を使用しています。

 

市場全体の時価総額の総額

日本取引所グループで公表されている市場別時価総額 | 日本取引所グループの2025年6月末の時価総額合計(1,012,608,272 百万円)を使用しています。

 

IFRS適用会社の時価総額が市場全体に占める割合

IFRS適用会社(適用確定含む)294社のうち、時価総額ランキング1,000位に入っている会社は206社で、時価総額の合計は484,508,688百万円でした。

これを、市場別時価総額の合計(1,012,608,272 百万円)で割ると、おおよそ47.8%になります。

ランキング1,000位に入っていない会社が88社あり、ランキング1,000位の会社の時価総額が82,806百万円なので、仮に82,806百万円×88社とすると、7,286,928百万円です。

ランキング1,000位以内分の484,508,688百万円+7,286,928百万円=491,795,616百万円を市場別時価総額の合計で割ると、48.6%になります。

このため、IFRS適用会社(適用確定含む)の時価総額が市場全体に占める割合はおおよそ48%と計算されました。

 

時価総額上位100社のうち、IFRS適用会社の数

時価総額上位100社のうち、IFRS適用会社(確定含む)の数は56社(56%)でした。

時価総額上位200社で95社(47.5%)、300社で122社(40.7%)、400社で145社(36.3%)、500社で155社(31%)、1,000社では206社(20.6%)です。

時価総額の大きい会社の方が、IFRS基準の適用率が高いと言えそうです。

時価総額ランキング100位区切りでのIFRS基準適用割合(縦軸は0~XXX位)

 

ちなみに、時価総額上位10社では6社(60%)、20社で13社(65%)、30社で22社、40社で26社、50社で32社、60社で37社、70社で42社、80社で48社、90社で52社でした。

100位までだと、優位性は感じませんね。

時価総額ランキング10位区切りでのIFRS基準適用割合(縦軸は0~XX位)

 

時価総額上位100社のIFRS基準適用状況

IFRS基準を適用していない会社で時価総額上位の10社は、(株)三菱UFJフィナンシャル・グループ、任天堂(株)、(株)三井住友フィナンシャルグループ、(株)キーエンス東京エレクトロン(株)、東京海上ホールディングス(株)、(株)みずほフィナンシャルグループ信越化学工業(株)、(株)セブン&アイ・ホールディングス、(株)オリエンタルランド、です。

メガバンクが3社も入っていますね。

上位100社の状況は以下の画像の通りです。表が上手く作成できず、字が小さい画像で申し訳ないです。

時価総額上位100社のIFRS基準適用状況

 

まとめ

時価総額の大きい会社の方がIFRS基準適用率は高く、市場全体の時価総額に占めるIFRS基準適用会社の割合はおおよそ48%、時価総額上位100社では56%でした。

私は、時価総額で上場会社のおおよそ半分、時価総額上位100社で56%なので、「主要大企業はIFRS基準移行している」、というほどではないかな、という感想です。

 

東京証券取引所の調査結果(2024年3月期)

東京証券取引所の2024年度の調査結果がありました。今回の集計と同じような結果です。(適用を検討、まで入れると割合は増えますが、まだ確定していないので範囲外と考えています。)

www.jpx.co.jp

 

 

GX検定のベーシックとアドバンストを受けた感想と実施した対策

こんにちは!少し久しぶりのブログです。

少し前になりますが、GX検定のベーシックとアドバンストを受験して合格しましたので、感想を書きたいと思います。
まだまだ情報が少ない検定なので、受験する方の何かお役に立てれば。

 

 

GX検定について

GX検定は、SKILLUP NeXt社が運営する民間の検定試験です。

ベーシック、アドバンスト、スペシャリストなどがあり、ベーシックとアドバンストはそれぞれ環境省認定制度の脱炭素アドバイザーベーシック、アドバンストに対応していて、合格すると脱炭素アドバイザーを名乗ることができます。

スペシャリストは認定申請中(脱炭素シニアアドバイザー)とのこと。

green-transformation.jp

 

試験はオンラインで自宅などから受けることができます。事前に身分証の登録と、受験環境の撮影などが必要です。

この、事前の受験環境の撮影が難しかったので、時間に余裕を持って実施しておいた方が良いです!
パソコンを持ってぐるぐる回って撮影するのですが、私はうまく撮影できず、何回かやり直しました。

 

あと、少数派だと思うのですが、私は身分証明書と本番の時のメガネと髪型が違い、身分証明書の認証が何回もエラーになったので、顔の要素の何かが変わった方はご注意ください。
私はメガネを古いものに戻して、髪形を身分証に寄せて撮影してクリアしました。
エラーが続いたときは、かなり焦りました。
はじめて受験する方は、余裕のある時期に照合しておくことをお勧めします。

 

GX検定ベーシックの感想

勉強して受験した感想としては、やっぱり試験を目指して勉強すると理解が深まるな、ということでした。e-learning付のコース(GX検定 ベーシック + GX入門講座セット)で申し込んだのですが目的を持って取り組むと覚えられますね。

ベーシックは60分50問でした。計算問題はありませんので、電卓不要です。
全て四択だったと思いますが、思っていたより時間がなく後半少し焦りました。
知識のあやふやさを試験中に感じました。四択にされると迷いますね。

GXベーシックで行った対策

初の受験で周りにも受験していて話を聞ける人がいなかったので、慎重に対策しました。
期間は1か月くらいで、実施した対策は以下の3つです。

①GX検定が出しているe-learningを受講(GX入門講座

GX検定ベーシック公式対策アプリを利用

NewmonicにGX入門講座の内容を自分で登録

おすすめされている関連書籍までは読んでいません。
 

①GX検定が出しているe-learningを受講(GX入門講座)

試験の受験申込とセットで申し込みました。こちら(ゲームなどしながら)2回転受講しました。
入門講座には問題も少しついているので、そちらは全問正解するまで解いています。

 

②GX検定ベーシック公式対策アプリを利用

公式から出ているアプリを全問正解するまで解きました。
有料買い切りで1,800円くらいでした。(利用時点)
問題集などが出ていないので、こちらはとてもよかったです。UIも分かりやすく快適に利用できました。

 

③Newmonic(スマホアプリ)にGX入門講座の内容を自分で登録

baton社のNewmonicに①のe-elearningのテキストから問題を作成してスマホから解いていました。

Newmonicは、暗記カードのアプリ版のようなものです。

baton社のサービスページです。

baton8.com


エクセルで作成、CSVファイルをアップロードで登録でき、UIサクサク、快適に利用できておすすめです。
無料で利用できます。(現時点)

問題を公開しようかと思ったのですが、著作権的に微妙なのとシラバスが変わってしまったみたいなので、控えます。

 

GX検定ベーシック対策で苦労した点

俗にいう、アルファベットスープ状態の用語と、会議の内容・順序の暗記に苦労しました。

サステナ関連は、とにかく英語数文字の略語が多いです!
この対策にはNewmonicが役立ちました。

略語は英文表記の頭文字であることが多いので、元の英文ごと覚えました。
Newmonicに、テキストに元の英文表記がない場合には検索してどんどん登録しました。
会議や法律等についても、同じようにこのアプリに登録して隙間時間に暗記しました。

この暗記した知識は、その後も役に立っています。
わかっている人はどんどん略語を使って話すので、知らないとついていけなくなりますよね。

 

GX検定アドバンストの感想

こちらも公式のe-learning(カーボンニュートラル実践講座(中級編 ))と同時に申し込みました。試験の受験要件になっている講座なので、皆さん受講されるものと思います。
ベーシックの感覚でいうと、結構高額ですよね。全部で7万円超(現時点)。会社負担ではなく個人負担で受けたので、受験するか結構迷いました。

GX入門講座も対象範囲ですが、こちらはベーシックで受講済みだったのでアドバンストの対策としては受講していません。

 

試験の難易度といいますか、範囲がベーシックよりも広いです。簡単な計算も必要になりますので、試験では電卓を使います。

90分50問程度で、こちらも四択の試験でした。今はシラバスが変わっているので分かりませんが、私が受験したときは計算問題が4問くらいで、ほぼ文章の問題でした。(問題が手に入らないので、持ち込みできる紙にメモしたベースです)

時間的には、ベーシックと同じ問題数で30分増加しており、計算もそこまで複雑なものはないと思いますので、ベーシックよりも余裕があり焦ることなく終わりました。

受験前は計算が重視されると思っていて対策も重視していたので、これしか出ないのか、という感じでした。このため、試験内容も思っていたよりGX検定ベーシックの知識でカバーできるな、という感想です。

ただ、四択なので用語など正確に理解していないと、不安になります。私はあいまいな部分があったので、試験中かなり不安になりました。

 

GX検定アドバンストで行った対策

以下の3つを対策として実施しました。こちらは2か月弱くらい対策しています。

①GX検定が出しているe-learningを受講(カーボンニュートラル実践講座(中級編 )

②e-learningのテキストを読み、計算問題を解く

GX検定ベーシック公式対策アプリを復習で解いておく

Newmonicは時間切れで用意できなかったので②を実施しています。
実践講座のボリュームがあるので、2回転しただけで時間がかなりかかりました。
こちらでも、おすすめされている書類やもとの資料まで特に読んではいません(別の要件のために読んだものもありますが、試験のためには読みませんでした)

 

①GX検定が出しているe-learningを受講(カーボンニュートラル実践講座(中級編 )

これは受験の前提になっている講座なので、皆さん受講されると思います。
私は(ゲームなどしながら)2回転受講しました。

問題は毎回止めて、ちゃんと自分で解きました。
講座の計算問題は係数など自分で資料から探すのが大変で時間がかかりますが、本番の試験は所与なので時間をかけずに解けました。

 

②e-learningのテキストを読み、計算問題を解く

Newmonicに問題を作ろうとしたのですが、範囲が多いのと時間が足りず諦めました。
どこかで、だいたいの試験はテキストを6回読めばできると見たので、とりあえず全体を3回読みました。
苦手分野はプラスして読んでいます。

 

GX検定ベーシック公式対策アプリを復習で解いておく

GX検定ベーシックの講座も範囲に入っていて、ベーシックの受講から時間も空いていたのでアプリをやり直しました。
試験問題でも必要な知識だったと思うので、これはやってよかったと思います。
本当は講座を聞き直してもよかったのですが、ちょっと時間がありませんでした。

そして、GX検定ベーシックの試験の見直しが重要ですね。問題が手元に残らないので復習も難しいのですが、苦手分野はわかると思うので、そこは少なくとも復習しておいた方がよいかと思います。

 

GX検定アドバンストで苦労した点

e-learningの量が多いのと、講座の計算問題を解くのに(正確には係数を探すのに)時間がかかりました。そのため、自分の思う十分な対策ができず、だめかな…と思いながら受験することになってしまいました。

それと、これは私の能力の問題が大きいのですが、ベーシックで覚えた略語の一部を忘れていたので再度覚える必要がありました。
両方受講する方は、あまり間を置かずに受けてもいいかもしれません。入門講座からも出題されるので、シラバス変わってしまうと大変ですしね!

 

まとめ

興味のある分野だったので、楽しく学べました。冒頭にもありましたが、試験があると覚えがいがあっていいですね。

全体の感想としては、公式出ている対策をしっかりやるのがいいかなと思います。

スペシャリストも受けようかと思ったのですが、受験費用+講座で15万円で懐に痛すぎるので、環境省から認定されたらまた考えることとします!
もう少し安かったらすぐ受けたいのですが!ちょっと、さすがに、自費では厳しいです。

以上です。お読みいただきありがとうございました。

 

有価証券報告書を株主総会前に提出するために、株主総会を後ろ倒しできるのはなぜか?

今回は、タイトルが全てなのですが、株主総会前に有価証券報告書を提出するために、株主総会を後ろ倒しすることが、どういう理由で可能なのか?ということを考えました。

 

目次です!

 

なぜ株主総会前に有価証券報告書を開示するのか?

金融庁の要請

今回の検討をしようと思ったきっかけは、2025年3月28日の金融庁の要請です。

株主総会前の適切な情報提供について:金融庁

この要請はざっくり要約すると

  • 投資家が株主総会で意思決定するためには、有価証券報告書を事前(3週間以上前)に確認できることが望ましい
  • が、日本では90%以上の企業で、株主総会同日か数日以内に有価証券報告書が開示されていて、望ましい状況では無い
  • でも、90%以上の会社が現時点で同日か数日以内に出しているんだから、前日か数日前に出すことは、現状のスケジュール考えるとできるのでは?
    みんな今年度から、ひとまず株主総会の前日から数日前の有価証券報告書の開示に協力して!

ということです。

今年から??と思いましたが、一旦置いておきましょう。

 

総会前開示の要請理由と影響について思うこと

有価証券報告書は他社との比較可能性も高く情報量が多い資料ですから、投資家が株主総会前に見たいと言うのは納得です。

3週間以上前の根拠はわかりませんが、有価証券報告書は長いものも多いですから、読み込みや分析に必要な期間ということでしょう。

 

金融庁の公表によると総会前に開示している企業は2%程度のようなので、ほとんどの企業はこの要請により新たに対応することになりそうです。

数日とはいえ、今年度は既に役員会や監査法人、印刷会社などもスケジュールが決まっているはずなので、公表日の変更は一大事です。

また、株主総会前に有価証券報告書が開示されているとなると、当然、株主からの質問も有価証券報告書についての内容が出てきそうです(そもそもそれが目的というところもあります)。

役員が質問に答えられるよう、想定問答集を作るのも大変そうです。

 

株主総会の3週間前に有価証券報告書を開示する手段

金融庁が、4つに場合分けして考えてくれています(親切!)
以下、株主総会=総会、有価証券報告書=有報と記載しています。

①現行業務を拡大(期末=基準日)
 →招集通知よりは後、総会の1日以上前に有報開示(現行を少し前倒し。3週間前の開示は難しい)
②有報前倒し(期末=基準日)※一体的開示も可能
 →総会の3週間以上前に有報を開示
③総会後倒し(期末≠基準日)※一体的開示も可能
 →議決権基準日を後ろ倒し(配当基準日=期末日は可能)、有価証券報告書開示日は現状維持、株主総会を有報開示の3週間後になるようにする
④決算期前倒し(期末≠基準日)※一体的開示も可能
 →決算期を前倒し、議決権基準日は現在のまま。有価証券報告書と事業報告書を同時に開示する

詳しくは金融庁の資料総会前開示の実現方法をご覧ください。

 

①②は、有報をどれだけ前倒しにするか、という話なので、実務上大変だとは思いますが、違和感はありません。
③と④について「そんなこと可能なの?」と思ってしまったので、その点を調べてみました。
 

一体的開示とは何か

期限の前に、一体的開示(=一体開示)について書いておきます。
一体的開示とは「会社法に基づく事業報告及び計算書類と金融商品取引法(以下「金商法」)に基づく有価証券報告書という2つの開示書類を、一体の書類として、又は別個の書類として、段階的に、もしくは、同時に 開示を行うこと」をいいます。(金融庁 事業報告等と 有価証券報告書の 一体的開示FAQ (制度編)  より)
一体の書類とする場合、有価証券報告書をベースにする方がやりやすいのではないか、とされているようです。
株主総会の3か月前までに開示が必要となるので、多くの会社の現行スケジュールでは厳しいですが、将来的に総会3週間以上前の有報開示が実現すれば、導入する企業が増えそうです。
 

決算日・基準日と事業報告書(事業報告・計算書類)・有報及び法人税等申告の関係

書類と日付の関係を整理します。
基準日は議決権行使の基準日とします。
議決権基準日=この時点での株主が議決権を行使することができる。議決権基準日と配当基準日は別日でもよい。期末と一致していることが多い。

書類と期限、書類の関係
文で書くと以下の関係があります。
【事業年度終了日ベース】
有価証券報告書は事業年度終了の日から3ヵ月以内
法人税申告は事業年度終了の日から最大6ヵ月以内(原則は2か月以内、今多いのは3か月以内まで延長)
株主総会は事業年度終了の日から6ヵ月以内(法人税申告に必要)

【議決権基準日※ベース】
株主総会は基準日から3か月以内に開催
株主総会の3週間前までに事業報告を開示(=有報目標)
 
つまり、法人税申告の最大期限が事業年度終了日ベースで固定で、有価証券報告書も事業年度終了日ベースで期限が固定なので、有価証券報告書と事業報告を一体的開示(総会の3週間以上前に開示)を実現できるように議決権基準日を設定する、ということになりそうです。(基準日を設定すると、株主総会の期限と事業報告の期限が決まる。)
 
  • 決算日そのまま、株主総会現行スケジュールなら、法人税申告スケジュールそのままで、有報前倒し対応
  • 決算日そのまま、株主総会後ろ倒しなら、議決権基準日を決算日より後ろに設定し、法人税申告を(さらに)延長して対応
  • 決算日を前倒し、株主総会現行スケジュールなら、前倒しした決算日より後に議決権基準日(現行のまま)を設定し法人税申告を(さらに)延長して対応

 

法人税申告期限の延長

法人税の申告延長には、要件と手続きがあります。
事前の準備と申請が必要なので、ご留意ください。

C1-17 定款の定め等による申告期限の延長の特例の申請|国税庁

 

振り返り

私の感じていた、株主総会後ろ倒しってありなの?の疑問は以下をよくわかっていないことからの疑問でした。
  • 事業年度終了日と議決権基準日は不一致でもよい
  • 株主総会の開催期限は議決権基準日ベースで決まる
  • 法人税申告は最大6か月まで延長できる

株主総会を後ろ倒しできるとはいえ、実際に法人税申告を6ヵ月後に延長することは難しいように思います。納付を先にするとしても、乖離があった場合延滞税もかかります。

長年の決まったスケジュールを動かすのも大変そうです。

今後各企業がどのように対応するのか、一体開示の事例が発生するのかは、引き続き注視したいと思います。

 

参考にしたウェブサイト

有価証券報告書の定時株主総会前の開示に関する情報:金融庁

有価証券報告書の定時株主総会前の開示の現状と今後の展望 | EY Japan

事業報告等と 有価証券報告書の 一体的開示FAQ (制度編) :金融庁

事業報告等と有価証券報告書の一体的開示FAQ(制度編)の概要:金融庁

 

大石哲之著「コンサル一年目が学ぶこと」

読んだ本をメモしていこうという試みです。

 

 

人に勧められたので、1年目でもコンサルタントでもないですが読んでみました。
サクッと読める本でした。私の気になったポイントは以下です。
いつもの記事とは違い、ただの私の感想メモになります。

 

ワンスライドワンメッセージ

ワンスライドワンメッセージは超有名ですね。まさにパワポの基本です。
でも、私のような「とにかく説明したい!」タイプの人には分かっていてもできません。
詰め込みたいのです。
お役所パワポを愛しているのです。
ワードを使いたい気持ちもありますが、オンライン会議にはパワポが必要なので仕方ないですね。
諦めつつも、せめて一文は短く、なるべく簡潔にしようと思いました。

 

ヴァリューを出すことが大切

私は監査法人にいたとき、尊敬する先輩に「ご利益」と習いました。
クライアントやセミナーに来た人には「ご利益」が無いといけない。
会計基準や資料を読んで知ることができることを伝えるだけではだめ、必ずプラスαのご利益が必要です、と。
これが、この本で言うバリューなのかなと思います。
これは最近忘れていましたが、これを機に高めたいです。

 

Quick and Dirty

比較的自分の方針に合ってるなと思います。
経理や財務の担当者向けではないかもしれません。
私は50〜60点のものを期限内に作り出すことは得意なのですが、それを時間をかけ70〜80点にできてもそれ以上まで高める(誤字脱字撲滅、文体、デザインとか)は苦手です。
仲間が欲しい。適材適所が理想です。

 

まずは今自分ができることでチームに貢献する

これですね!
私は今新しい仕事をしていて役立たずなのですが、できることからコツコツがんばろうと思います。

 

メモ書きなのでざっくばらんになりました。
メモしながら読むとより印象に残りますね。

気になる方は読んでみてください!
さくっと短時間で読めるかなと思います。

 

 

SSBJの新基準と現在の日本企業のサステナ開示について

サステナビリティ開示が話題ですね!

私も学ぼうといろいろ読んでみたのですが、SSBJ(サステナビリティ基準委員会)というものがあることと、新しい基準が間もなく公開されようとしていることはわかったのですが、現在多くの企業が開示している、統合報告書やサステナビリティデータブックとは何が違うのか、という部分がいまいち分からなかったので、簡単に整理しました。

初学者による初学者のための超基礎まとめです。

 

統合報告書とは何か?

企業が統合報告書は財務情報に加えて非財務情報を開示するレポートです。投資家などのステークホルダーに向け発行されます。ESG投資が重要視され始めたこともあり、多くの企業が開示していますが、任意開示です。

国際統合報告評議会(International Integrated Reporting Council,IIRC)が公表した国際統合報告フレームワークなどに基づいて作成します。このフレームワークでは「統合報告書の定義は、外部経営環境を背景として組織の戦略、ガバナンス、実績、及び見通しが、どのように短、中、長期の価値創造、保全又は毀損につながるかについての簡潔なコミュニケーション」とされており、企業理念、ビジネスモデル、価値創造プロセス、ESG・SDGsへの取組みなどを開示します。

 

サステナビリティデータブックとは?

サステナビリティデータブック、ESGデータブックなどと呼ばれ、様々な企業で開示されています。ESGやサステナビリティの重要性を鑑みて、投資家などのステークホルダーとのコミュニケーションツールとして任意開示されています。

企業によって様々ですが、サステナビリティやESGに関する考え方、取り組み、関連数値などが記載されています。年次で更新している企業が多いです。

特に依拠する基準などはなく、各社が自由に作成しているようです。

 

TCFDレポートとは何か?

気候関連財務情報開示タスクフォース(Task Force on Climate-related Financial Disclosures, TCFD)が、 気候変動関連の企業開示を促すために公表した提言(TCFD提言)に基づいて発行される報告書です。 TCFD提言に賛同する企業が、基本的には任意で開示します。

日本では、コーポレートガバナンスコード(補充原則3-1③)で「国際的に確立された開示の枠組みであるTCFDまたはそれと同等の枠組みに基づく開示の質と量の充実を進めるべき」とされているため、プライム上場企業では実質的な制度開示となっています。(エクスプレインすることで開示しない方法もあります)

TCFDは2023年10月に解散したため、新たに賛同することはできません。今後は国際サステナビリティ基準委員会(ISSB)がその役割を引き継ぐとのことです。

 

GRIスタンダードとは何か?

GRIはグローバル・レポーティング・イニシアティブ(Global Reporting Initiative, GRI)の略で、国際的な独立した団体です。GRIスタンダードは「組織が経済、環境、社会に与えるさまざまなインパクトについて一般の人々に情報提供する際の、国際的なベストプラクティスを反映している規準」です。

GRIスタンダードの開示は任意で、必須項目と選択できる項目があり、企業が自社にあったものを選んで開示します。GRIスタンダード対照表などという項目で、GRIスタンダードに適合した記載が自社のESG基準のどこに適合し、コーポレートサイトのどこに記載されているかをリンク方式で開示する方法が多くみられます。

 

現在の有価証券報告書の記載

有価証券報告書の事業の状況にも「サステナビリティに関する考え方及び取組」についての欄があり、ガバナンス、戦略、リスク管理、指標及び目標の記載が求められています。また、企業の状況の「従業員の状況」には人的資本・多様性の記載が、提出会社の状況では「コーポレート・ガバナンスの状況」で取締役会の活動状況などの記載が必要です。

有価証券報告書は制度開示です。TCFDレポートは間接的な制度開示といえるため、これまで紹介した中では、唯一の完全な制度開示ということになります。

 

SSBJとは?どの媒体で開示されるの?

SSBJとは?

サステナビリティ基準委員会(Sustainability Standards Board of Japan, SSBJ)は2022年7月に公益財団法人財務会計基準機構(FASF)内に設立された、日本におけるサステナビリティ開示基準の開発と国際的なサステナビリティ開示基準の開発に対する意見発信を行うための組織です。

国際サステナビリティ基準審議会(ISSB)のIFRS1号、IFRS2号に対応した、日本版S1プロジェクトと日本版S2プロジェクトについて、2025年3月末までには確定版が公表される予定です。

 

SSBJが作成しているのはどの媒体(開示資料)に対する基準なのか?

SSBJが公表している公開草案には以下の様に記載があります。

SSBJ 2024年3月 サステナビリティ開示ユニバーサル基準公開草案 サステナビリティ開示基準の適用(案) 
9.サステナビリティ関連財務開示は、関連する財務諸表を特定できるようにしなければならない。サステナビリティ関連財務開示と同じ文書において関連する財務諸表が報告されていない場合、次の事項を開示しなければならない。
(1)  関連する財務諸表の入手方法
(2)  関連する財務諸表の作成にあたり準拠した会計基準の名称

10.サステナビリティ関連財務開示において、通貨が測定単位として特定されている場合、関連する財務諸表の表示に用いる通貨を使用しなければならない。 

 

金融庁 サステナビリティ情報の記載欄の新設等の改正について(解説資料)には以下の図があり、有価証券報告書の中で開示することが検討されています。

金融庁解説資料P3「サステナビリティ開示の概観」の抜粋

現在の状況からみると、SSBJの基準によるサステナ情報の開示は、有価証券報告書に記載することを予定していることが分かります。一方で、任意開示の場合でもこの基準が参考にできるように、あいまいな表現にしているのかもしれません。

それぞれの関係

これまで記載した開示情報を簡単にまとめました。

開示資料 制度開示・任意開示 内容 根拠(規定)
有価証券報告書 制度開示 人的資本・多様性、サステナビリティ(ガバナンス、戦略、リスク管理、指標及び目標) 企業内容等の開示に関する内閣府令
統合報告書 任意開示 財務データと非財務データ(企業理念、ビジネスモデル、価値創造プロセス、ESG・SDGsへの取組み など)、比較的自由 国際統合報告フレームワーク
サステナビリティデータブック、ESGデータブック等 任意開示 サステナビリティやESGに関連したデータ(環境、社会、人的資本など) 特になし(一部GHGプロトコル、省エネ法、温対法等に基づいた数値を公開することもある)
TCFDレポート 任意開示、または、制度開示(プライム上場市場に上場している場合はコーポレート・ガバナンスコードにより求められているので実質制度開示) 気候変動 TCFD提言
GRIスタンダード対照表 任意開示 経済、環境、社会などの項目があり、一部は選択できる GRIスタンダート

 

それぞれの開示は、それぞれの基準に基づき、それぞれ求められることが記載されているということですね。調べてなお、ちょっと複雑です。

国際的にはIISBにTCFDが統合されたりと、開示基準をまとめる動きもあるようです。

 

今回のまとめ

  • 現在開示されているサステナ情報は、それぞれの基準でそれぞれ開示されている
  • SSBJが作成中のサステナ基準は、有価証券に記載する情報に適用されそう(調整中)
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サステナビリティ報告のグローバル実務/有限責任監査法人トーマツ/中央経済社/2024年4月

 

 

法改正で実効税率が変更される場合に連結財務諸表で何をすべきか考える

防衛特別法人税が創設される予定ですね。

ASBJから2025年2月20日に以下の文書が公表されています。

補足文書「2025年3月期決算における令和7年度税制改正において創設される予定の防衛特別法人税の税効果会計の取扱いについて」の公表|企業会計基準委員会

この文書で、実効税率の計算方法がはっきりしました。
(定額控除の500万円は実効税率に含まず、税率差異になるようです)

 

実効税率の算定方法が分かったので、法改正により実効税率が変更される場合に連結決算では何をするべきなの?ということを考えてみます。

 

実効税率が変わった場合の会計処理(原則)

法改正により実効税率が変わった時にどうするかについて、税効果会計に係る会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第28号)に次のように書いてあります。

一時差異の種類 修正差額の処理 適用
指針
基本(下記以外) 当該税率が変更された年度において、法人税等調整額を相手勘定として計上 51項
柱書
資産又は負債の評価替えにより生じた評価差額等(直接純資産の部に計上) 当該税率が変更された年度において純資産の部の評価・換算差額等を相手勘定として計上 51項(1)
資産又は負債の評価替えにより生じた評価差額等(その他の包括利益で認識した上で純資産の部に計上) 当該税率が変更された年度においてその他の包括利益を相手勘定として計上 51項(2)
連結財務諸表で子会社に対する投資について親会社の持分変動による差額(直接資本剰余金に計上) 当該税率が変更された年度において資本剰余金を相手勘定として計上 51項(3)
子会社の資産及び負債の時価評価により生じた評価差額 当該税率が変更された連結会計年度において、法人税等調整額を相手勘定として計上(子会社の税率で計算) 52項
未実現損益の消去に係るもの 税法の改正に伴い税率等が変更されても修正しない

56項

 

ということですので、これに従って処理をすればよいわけですね。

 

実効税率が変わったらどの繰延税金資産・負債を再計算するのか

繰延税金資産・負債は、基本的には「解消するときの税率」で計算します。

そして、決算時点で法律で国会で成立している法人税等に規定されている税率を使います。

税効果会計に係る会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第28号)
45.  税効果会計基準では、繰延税金資産又は繰延税金負債の金額は、回収又は支払が行われると見込まれる期の税率に基づいて計算するものとされている(税効果会計基準 第二 二 2)。 
46.  法人税及び地方法人税について、繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税率は、決算日において国会で成立している法人税法等(法人税及び地方法人税の税率が規定されている税法をいう。以下同じ。)に規定されている税率による。 

防衛特別法人税等についても、以下のように書かれています。

<補足文書> 2025 年3月期決算における令和7年度税制改正において創設される予定の防衛特別法人税税効果会計の取扱いについて
11.  改正税法が2025年3月31日までに成立した場合、同日に決算日を迎える企業にあっては、税効果会計の適用における2026年4月1日以後に開始する事業年度に解消が見込まれる一時差異等に係る繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に際して、防衛特別法人税の影響を反映する必要があると考えられる。 


つまり、防衛特別法人税等については、2025年3月中に国会で成立した場合、下の図の実効税率を用いて繰延税金資産・負債の計算を行うことになります。

3月決算では2026年度以降解消分から新税率、12月決算では2027年度以降解消分から新税率

防衛特別法人税が2025年3月までに成立した場合の税効果で利用する実効税率

ここで一つ例外があります。それは、連結決算における未実現利益の税効果についてです。未実現利益の税効果については、「一時差異発生時の税率」を使って計算することとされています。

つまり、未実現利益の税効果分については、実効税率が改定されても再計算を行いません。

税効果会計に係る会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第28号)
131. このように、未実現損益の消去に係る税効果会計については、資産負債法(第89項(1)参照)の例外として繰延法(第89項(2)参照)が採用されている。 

89.  税効果会計の方法には、資産負債法のほかに繰延法がある。
(省略)
(2)  繰延法
繰延法とは、会計上の収益又は費用の額と税務上の益金又は損金の額との間に差異が生じており、当該差異のうち損益の期間帰属の相違に基づくもの(期間差異)について、当該差異が生じた年度に当該差異による税金の納付額又は軽減額を当該差異が解消する年度まで、繰延税金資産又は繰延税金負債として計上する方法である。 したがって、繰延法により計上する繰延税金資産又は繰延税金負債の計算に用いる税率は、期間差異が生じた年度の課税所得計算に適用された税率である。 

 

実効税率が変わった場合の個々の取引の処理

先ほど引用した適用指針によれば、基本的には繰延税金資産・負債を再計算し、差額を計上時の相手で計算すればよいということが分かります。(51項柱書、(1)、(2))
そして、子会社の取得時に行う子会社の資産・負債の時価評価に関する繰延税金資産・負債については、税率変更時の法人税等調整額とします(51項(3))

具体的に考えてみた表

考えられる取引を挙げて、対応を表にしてみました。

項目 使用する税率 税率を修正(再計算)した差額の処理 税効果適用指針
資産または負債の評価替え(包括利益で認識)※退職給付以外 その他有価証券評価差額金、繰延ヘッジ 解消時の税率 税率が変更された年度に、その他の包括利益を相手勘定として計上する 51項(2)
退職給付に係る資産または負債に係る税効果 退職給付会計の数理計算上の差異 解消時の税率 税率が変更された年度に、その他の包括利益を相手勘定として計上する 51項(2)
子会社の持分変動による差額(資本剰余金)   解消時の税率 税率が変更された年度に、資本剰余金を相手勘定として計上する 51項(3)
子会社の資産・負債の時価評価により生じた評価差額 取得時の子会社資産の時価評価 解消時の税率 税率が変更された年度に、法人税等調整額を相手勘定として計上する 52項
子会社の留保利益に関する一時差異 将来の配当に関する留保利益(海外子会社配当等) 解消時の税率 税率が変更された年度に原則として法人税等調整額を相手勘定として計上する 51項
取引の不一致 連結会社間取引の期ずれ 解消時の税率 税率が変更された年度に原則として法人税等調整額を相手勘定として計上する 51項
資産負債の消去 貸倒引当金の取消、子会社株式評価損 解消時の税率 税率が変更された年度に原則として法人税等調整額を相手勘定として計上する 51項
未実現損益の消去 棚卸未実現利益、固定資産未実現利益 一時差異発生時の税率 修正しない(繰延法のため) 56項
海外子会社 ※海外子会社固有の一時差異については、現地の税率が適用されるため、日本の税率改定には影響を受けない

↑追記、編集するかもしれません。

 

子会社取得時のPPAで識別した資産の税効果はどうなるか?

今回の記事は、個人的にこの部分が気になって書き始めました。
将来の実行税率が変わったら、開始仕訳が変わるのか?と思ったのです。
私の見解としては、適用指針のここを使うのだろうと判断しました。

52.  子会社の資産及び負債の時価評価により生じた評価差額に係る一時差異について、子会社において税率が変更されたことによる繰延税金資産及び繰延税金負債の修正差額は、当該税率が変更された連結会計年度において、法人税等調整額を相手勘定として計上する。

PPAで識別した資産は、識別したものなので、時価評価差額とは厳密には異なります。一方で、成り立ちから考えると、企業の持つ”超過収益力”を具体的な無形資産として識別したものなので、時価評価と近似しているかと思います。

この場合、計算式と仕訳はこうです。

【計算式】調整する金額=識別した資産の残高×(新税率-旧税率)

【仕訳】法人税等調整額 / 繰延税金負債

これなら、開始仕訳にも影響が出ず、一安心です。

 

実行税率変更に関する注記

さて、繰延税金資産・負債の再計算に加え、注記が必要です。

税効果会計に係る会計基準
第四 注記事項
財務諸表及び連結財務諸表については、次の事項を注記しなければならない。
3. 税率の変更により繰延税金資産及び繰延税金負債の金額が修正されたときは、その旨及び修正額
4. 決算日後に税率の変更があった場合には、その内容及びその影響

注記には、修正した旨と修正額を記載する必要があります。

つまり、注記をする期の決算においては、再計算前(新税率適用前)と再計算後(新税率適用後)の両方の数値を計算しておく必要があります

2025年3月中に国会で新税率が成立しなくても、財務諸表の開示前に改正されるとその内容と影響額の注記が必要になると思いますので、ご留意ください。

 

まとめ

今回のまとめです。法改正により実効税率が変わった場合に注意すること。

  • 適用初年度では、税金の見積
  • 実効税率が変更される税制が成立した期には、繰延税金資産・負債の再計算が必要。相手勘定は計上時の相手勘定になることが多い。
  • 未実現利益については、繰延税金資産・負債の再計算はしない
  • 子会社の時価評価に係る評価差額については、再計算した差額は法人税等調整額になる
  • 再計算した差額については、その旨と修正額を注記する

 

参考にしたリンク

補足文書「2025年3月期決算における令和7年度税制改正において創設される予定の防衛特別法人税の税効果会計の取扱いについて」の公表|企業会計基準委員会

ASBJ 企業会計基準適用指針第28号 税効果会計に係る会計基準の適用指針

税効果会計に係る会計基準