会計とサステナともなか

会計とサステナを中心に考えたことを公認会計士が書くブログです。所属する団体には関係なく、個人の意見です。

日本の主要大企業はIFRS基準移行済みなのか調べてみた

こんにちは。今日は、日経新聞さんのこちらの記事のThinkという編集委員さんのコメントで「日本の主要大企業はすでにIFRSに移行」と記載されていて、そうなんだ~!と思ったので、実際に調べてみました。www.nikkei.com

 

個人が趣味で行っている集計なので、粗い点(元データの時点が6月末と7月8日で混在、時価総額の算定方法の差異の有無は未確認、IFRS適用会社の時価総額は後述の時価総額ランキング1,000社に限定しています、計算において百万円未満は無視)はご容赦ください。
誤りがあればコメントで指摘いただけると嬉しいです。

 

 

集計元データ

IFRS適用企業

日本取引所グループで公表されているIFRS適用済・適用決定会社一覧 | 日本取引所グループから、2025年6月末現在のIFRSを適用している会社、適用して上場した会社、適用が確定している会社、合計294社を使用しています。

 

各社の時価総額

Yahoo!ファイナンス日本株ランキング(時価総額上位) - Yahoo!ファイナンス(更新日時2025年7月8日 18:40)の上位1,000社を使用しています。

 

市場全体の時価総額の総額

日本取引所グループで公表されている市場別時価総額 | 日本取引所グループの2025年6月末の時価総額合計(1,012,608,272 百万円)を使用しています。

 

IFRS適用会社の時価総額が市場全体に占める割合

IFRS適用会社(適用確定含む)294社のうち、時価総額ランキング1,000位に入っている会社は206社で、時価総額の合計は484,508,688百万円でした。

これを、市場別時価総額の合計(1,012,608,272 百万円)で割ると、おおよそ47.8%になります。

ランキング1,000位に入っていない会社が88社あり、ランキング1,000位の会社の時価総額が82,806百万円なので、仮に82,806百万円×88社とすると、7,286,928百万円です。

ランキング1,000位以内分の484,508,688百万円+7,286,928百万円=491,795,616百万円を市場別時価総額の合計で割ると、48.6%になります。

このため、IFRS適用会社(適用確定含む)の時価総額が市場全体に占める割合はおおよそ48%と計算されました。

 

時価総額上位100社のうち、IFRS適用会社の数

時価総額上位100社のうち、IFRS適用会社(確定含む)の数は56社(56%)でした。

時価総額上位200社で95社(47.5%)、300社で122社(40.7%)、400社で145社(36.3%)、500社で155社(31%)、1,000社では206社(20.6%)です。

時価総額の大きい会社の方が、IFRS基準の適用率が高いと言えそうです。

時価総額ランキング100位区切りでのIFRS基準適用割合(縦軸は0~XXX位)

 

ちなみに、時価総額上位10社では6社(60%)、20社で13社(65%)、30社で22社、40社で26社、50社で32社、60社で37社、70社で42社、80社で48社、90社で52社でした。

100位までだと、優位性は感じませんね。

時価総額ランキング10位区切りでのIFRS基準適用割合(縦軸は0~XX位)

 

時価総額上位100社のIFRS基準適用状況

IFRS基準を適用していない会社で時価総額上位の10社は、(株)三菱UFJフィナンシャル・グループ、任天堂(株)、(株)三井住友フィナンシャルグループ、(株)キーエンス東京エレクトロン(株)、東京海上ホールディングス(株)、(株)みずほフィナンシャルグループ信越化学工業(株)、(株)セブン&アイ・ホールディングス、(株)オリエンタルランド、です。

メガバンクが3社も入っていますね。

上位100社の状況は以下の画像の通りです。表が上手く作成できず、字が小さい画像で申し訳ないです。

時価総額上位100社のIFRS基準適用状況

 

まとめ

時価総額の大きい会社の方がIFRS基準適用率は高く、市場全体の時価総額に占めるIFRS基準適用会社の割合はおおよそ48%、時価総額上位100社では56%でした。

私は、時価総額で上場会社のおおよそ半分、時価総額上位100社で56%なので、「主要大企業はIFRS基準移行している」、というほどではないかな、という感想です。

 

東京証券取引所の調査結果(2024年3月期)

東京証券取引所の2024年度の調査結果がありました。今回の集計と同じような結果です。(適用を検討、まで入れると割合は増えますが、まだ確定していないので範囲外と考えています。)

www.jpx.co.jp

 

 

法改正で実効税率が変更される場合に連結財務諸表で何をすべきか考える

防衛特別法人税が創設される予定ですね。

ASBJから2025年2月20日に以下の文書が公表されています。

補足文書「2025年3月期決算における令和7年度税制改正において創設される予定の防衛特別法人税の税効果会計の取扱いについて」の公表|企業会計基準委員会

この文書で、実効税率の計算方法がはっきりしました。
(定額控除の500万円は実効税率に含まず、税率差異になるようです)

 

実効税率の算定方法が分かったので、法改正により実効税率が変更される場合に連結決算では何をするべきなの?ということを考えてみます。

 

実効税率が変わった場合の会計処理(原則)

法改正により実効税率が変わった時にどうするかについて、税効果会計に係る会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第28号)に次のように書いてあります。

一時差異の種類 修正差額の処理 適用
指針
基本(下記以外) 当該税率が変更された年度において、法人税等調整額を相手勘定として計上 51項
柱書
資産又は負債の評価替えにより生じた評価差額等(直接純資産の部に計上) 当該税率が変更された年度において純資産の部の評価・換算差額等を相手勘定として計上 51項(1)
資産又は負債の評価替えにより生じた評価差額等(その他の包括利益で認識した上で純資産の部に計上) 当該税率が変更された年度においてその他の包括利益を相手勘定として計上 51項(2)
連結財務諸表で子会社に対する投資について親会社の持分変動による差額(直接資本剰余金に計上) 当該税率が変更された年度において資本剰余金を相手勘定として計上 51項(3)
子会社の資産及び負債の時価評価により生じた評価差額 当該税率が変更された連結会計年度において、法人税等調整額を相手勘定として計上(子会社の税率で計算) 52項
未実現損益の消去に係るもの 税法の改正に伴い税率等が変更されても修正しない

56項

 

ということですので、これに従って処理をすればよいわけですね。

 

実効税率が変わったらどの繰延税金資産・負債を再計算するのか

繰延税金資産・負債は、基本的には「解消するときの税率」で計算します。

そして、決算時点で法律で国会で成立している法人税等に規定されている税率を使います。

税効果会計に係る会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第28号)
45.  税効果会計基準では、繰延税金資産又は繰延税金負債の金額は、回収又は支払が行われると見込まれる期の税率に基づいて計算するものとされている(税効果会計基準 第二 二 2)。 
46.  法人税及び地方法人税について、繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税率は、決算日において国会で成立している法人税法等(法人税及び地方法人税の税率が規定されている税法をいう。以下同じ。)に規定されている税率による。 

防衛特別法人税等についても、以下のように書かれています。

<補足文書> 2025 年3月期決算における令和7年度税制改正において創設される予定の防衛特別法人税税効果会計の取扱いについて
11.  改正税法が2025年3月31日までに成立した場合、同日に決算日を迎える企業にあっては、税効果会計の適用における2026年4月1日以後に開始する事業年度に解消が見込まれる一時差異等に係る繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に際して、防衛特別法人税の影響を反映する必要があると考えられる。 


つまり、防衛特別法人税等については、2025年3月中に国会で成立した場合、下の図の実効税率を用いて繰延税金資産・負債の計算を行うことになります。

3月決算では2026年度以降解消分から新税率、12月決算では2027年度以降解消分から新税率

防衛特別法人税が2025年3月までに成立した場合の税効果で利用する実効税率

ここで一つ例外があります。それは、連結決算における未実現利益の税効果についてです。未実現利益の税効果については、「一時差異発生時の税率」を使って計算することとされています。

つまり、未実現利益の税効果分については、実効税率が改定されても再計算を行いません。

税効果会計に係る会計基準の適用指針(企業会計基準適用指針第28号)
131. このように、未実現損益の消去に係る税効果会計については、資産負債法(第89項(1)参照)の例外として繰延法(第89項(2)参照)が採用されている。 

89.  税効果会計の方法には、資産負債法のほかに繰延法がある。
(省略)
(2)  繰延法
繰延法とは、会計上の収益又は費用の額と税務上の益金又は損金の額との間に差異が生じており、当該差異のうち損益の期間帰属の相違に基づくもの(期間差異)について、当該差異が生じた年度に当該差異による税金の納付額又は軽減額を当該差異が解消する年度まで、繰延税金資産又は繰延税金負債として計上する方法である。 したがって、繰延法により計上する繰延税金資産又は繰延税金負債の計算に用いる税率は、期間差異が生じた年度の課税所得計算に適用された税率である。 

 

実効税率が変わった場合の個々の取引の処理

先ほど引用した適用指針によれば、基本的には繰延税金資産・負債を再計算し、差額を計上時の相手で計算すればよいということが分かります。(51項柱書、(1)、(2))
そして、子会社の取得時に行う子会社の資産・負債の時価評価に関する繰延税金資産・負債については、税率変更時の法人税等調整額とします(51項(3))

具体的に考えてみた表

考えられる取引を挙げて、対応を表にしてみました。

項目 使用する税率 税率を修正(再計算)した差額の処理 税効果適用指針
資産または負債の評価替え(包括利益で認識)※退職給付以外 その他有価証券評価差額金、繰延ヘッジ 解消時の税率 税率が変更された年度に、その他の包括利益を相手勘定として計上する 51項(2)
退職給付に係る資産または負債に係る税効果 退職給付会計の数理計算上の差異 解消時の税率 税率が変更された年度に、その他の包括利益を相手勘定として計上する 51項(2)
子会社の持分変動による差額(資本剰余金)   解消時の税率 税率が変更された年度に、資本剰余金を相手勘定として計上する 51項(3)
子会社の資産・負債の時価評価により生じた評価差額 取得時の子会社資産の時価評価 解消時の税率 税率が変更された年度に、法人税等調整額を相手勘定として計上する 52項
子会社の留保利益に関する一時差異 将来の配当に関する留保利益(海外子会社配当等) 解消時の税率 税率が変更された年度に原則として法人税等調整額を相手勘定として計上する 51項
取引の不一致 連結会社間取引の期ずれ 解消時の税率 税率が変更された年度に原則として法人税等調整額を相手勘定として計上する 51項
資産負債の消去 貸倒引当金の取消、子会社株式評価損 解消時の税率 税率が変更された年度に原則として法人税等調整額を相手勘定として計上する 51項
未実現損益の消去 棚卸未実現利益、固定資産未実現利益 一時差異発生時の税率 修正しない(繰延法のため) 56項
海外子会社 ※海外子会社固有の一時差異については、現地の税率が適用されるため、日本の税率改定には影響を受けない

↑追記、編集するかもしれません。

 

子会社取得時のPPAで識別した資産の税効果はどうなるか?

今回の記事は、個人的にこの部分が気になって書き始めました。
将来の実行税率が変わったら、開始仕訳が変わるのか?と思ったのです。
私の見解としては、適用指針のここを使うのだろうと判断しました。

52.  子会社の資産及び負債の時価評価により生じた評価差額に係る一時差異について、子会社において税率が変更されたことによる繰延税金資産及び繰延税金負債の修正差額は、当該税率が変更された連結会計年度において、法人税等調整額を相手勘定として計上する。

PPAで識別した資産は、識別したものなので、時価評価差額とは厳密には異なります。一方で、成り立ちから考えると、企業の持つ”超過収益力”を具体的な無形資産として識別したものなので、時価評価と近似しているかと思います。

この場合、計算式と仕訳はこうです。

【計算式】調整する金額=識別した資産の残高×(新税率-旧税率)

【仕訳】法人税等調整額 / 繰延税金負債

これなら、開始仕訳にも影響が出ず、一安心です。

 

実行税率変更に関する注記

さて、繰延税金資産・負債の再計算に加え、注記が必要です。

税効果会計に係る会計基準
第四 注記事項
財務諸表及び連結財務諸表については、次の事項を注記しなければならない。
3. 税率の変更により繰延税金資産及び繰延税金負債の金額が修正されたときは、その旨及び修正額
4. 決算日後に税率の変更があった場合には、その内容及びその影響

注記には、修正した旨と修正額を記載する必要があります。

つまり、注記をする期の決算においては、再計算前(新税率適用前)と再計算後(新税率適用後)の両方の数値を計算しておく必要があります

2025年3月中に国会で新税率が成立しなくても、財務諸表の開示前に改正されるとその内容と影響額の注記が必要になると思いますので、ご留意ください。

 

まとめ

今回のまとめです。法改正により実効税率が変わった場合に注意すること。

  • 適用初年度では、税金の見積
  • 実効税率が変更される税制が成立した期には、繰延税金資産・負債の再計算が必要。相手勘定は計上時の相手勘定になることが多い。
  • 未実現利益については、繰延税金資産・負債の再計算はしない
  • 子会社の時価評価に係る評価差額については、再計算した差額は法人税等調整額になる
  • 再計算した差額については、その旨と修正額を注記する

 

参考にしたリンク

補足文書「2025年3月期決算における令和7年度税制改正において創設される予定の防衛特別法人税の税効果会計の取扱いについて」の公表|企業会計基準委員会

ASBJ 企業会計基準適用指針第28号 税効果会計に係る会計基準の適用指針

税効果会計に係る会計基準

 

 

 

 

日本での課税開始前にグローバルミニマム課税制度(Pillar2)の見積計上・注記が必要なパターンを考える

GMT(のうちのIIR)の日本での適用が、2024年4月1日開始事業年度からとなり、3月決算会社では、2025年3月期の有価証券報告書から、グローバルミニマム課税制度(以下GMT)の見積もり計上が開始されますね。

それでは、それ以外の、例えば12月決算会社(今想定するならぎりぎり2024年12月期)は本当にまだ先の話なのか?と疑問に思ったので、ざっくり調べてみました。

今回このブログで対象とするGMTは、IIR、UTPR、QDMTTの3つです。(STTRは別の話ということで)

 

そもそも、GMTの適用対象会社は収益が7億5,000万ユーロ(約1,200億円)以上の多国籍企業なので(すごくざっくり)、対象会社は少なそうです。

 

以下、大まかに書くので、細かいルールは別途調べてください。
GMTは国ごとに詳細が異なるので要注意です。
アドバイスや確定情報ではなく考えたことをメモしているブログなのであしからずご了承ください。

ということで、お品書きです。

そもそも、IIR、UTPR、QDMTTとはなにか?

GMTはざっくり言うと「多国籍グループ会社に所属する会社を国・地域ごとにグルーピングして、法人税等の負担割合が15%未満の国・地域(以下、軽課税国等)がある場合、15%になるまで課税します」という制度です。

そして、さらにざっくり言うと、この15%までの不足分を、
親会社で課税するのがIIR
親会社にIIRが導入されていない場合グループ内の子会社で課税するのがUTPR
軽課税国等が自国で課税するのがQDMTT
です。

詳しくはリンク先を見てください。図入りでわかりやすいです。
【BEPS2.0】促される連結マネジメント グループベースの課税と財務報告

 

日本でGMTが適用される前に財務諸表に計上があるケースは?

多国籍企業で最終親会社(または中間親会社、被部分保有親会社)が日本である場合、2024年4月1日以降開始事業年度より前の事業年度では、日本の税法での課税はありません。

しかし、日本では課税がなくても、連結財務諸表にはGMTによる税が計上されることはないのか?というのが、今回の疑問です。

私の仮定では、以下の様なケースには課税が発生しうるのではないかと考えます。

  • グループ内にIIRが適用開始されている国等に所在する会社があり、その会社に子会社がある
  • グループ内にUTPRの適用開始している国等に所在する会社がある
  • グループ内にQDMTTの適用開始している国等に所在する会社がある

グループ内に軽課税国等の会社があることが前提です。

IIRは最終親会社で適用されていない場合で、中間親会社や被部分保有親会社で適用開始されている場合にはそちらで適用になりそうなので、注意が必要です。
UTPRやQDMTTは適用開始している国等に会社がある場合注意が必要です。

結構GMTを計上する可能性あるのでは?と思いますよね。

 

日本より先にGMTが導入されている国は?

可能性のある国・地域はどこなんだい!ということで、インターネットを検索して出てきた範囲で表にまとめました。古い情報があったらごめんなさい。

GMTは各国により詳細な制度が異なりますが、今回は3つに分類してざっくりとまとめていますのでご了承ください。

色を付けているのが、12月決算の場合2024年12月期で適用がありそうな国です。

各国のGMT導入状況(私調べ)

IIRとQDMTTは12月決算では開始してそうな国がちらほらあります。
UTPRは私の調べた範囲では、まだ適用は無いようです。

グループ内で課税可能性があれば、金額的重要性を勘案してPLに見積もり費用計上しないまでも、なにかしら注記くらいは検討した方が良さそうです。

 

日本基準との関係

実務対応報告第46号「グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の会計処理及び開示に関する取扱い」が公表されています。

適用開始は、2024年4月1日以後開始する連結会計年度及び事業年度からとなります。これは、日本のGMTの税法適用開始に合わせています。
今回検討している12月決算会社では、2024年12月期での適用はないことになります。
また、GMTを見込んでの税効果会計は不要とされていますので、基本的にはGMTは決算で対応不要と思われますが、日本の税法以外で発生している場合についての取り扱いは定かではありません。
上場企業においては、日本以外の税法により発生が見込まれるGMTがある場合、念のため、対応について監査法人等に確認をしておいた方がよいと思われます。

 

未適用の会計基準の注記は必要?

グループ内にGMTの適用を開始している国等にある会社が無くても、必要な対応があります。

日本でGMTの課税が開始される2024年4月1日開始事業年度前でも、有価証券報告書の注記「未適用の会計基準」に GMTについて記載することが必要と考えられます。

あまりにも関係なければ重要性で無視できそうですが、GMT適用後に課税可能性のある企業は「軽微と考えられます」「検討中です」くらいは最低限、書くことになりそうです。

【追記】2024/12/20の中央経済社経理情報」では、会計方針の変更ではなく新たな事実の発生に伴う新たな会計処理の採用になるため、未適用の会計基準の注記は不要とも考えられるとの見解が書かれていました。

3月決算では10%強の記載だったようで、各社判断が必要そうです。

 

現在の開示状況をEDINETで検索してみた

2025年1月2日現在で、EDINET全文検索「グローバルミニマム課税」で有価証券報告書、半期報告書、四半期報告書を検索してみました。

検索結果は、10件(9社)でした。

そのうち、定性情報等での記載が3件、未適用の会計基準での記載が1件、影響は軽微としているのが5件、軽微だけど費用計上ありとしているのが1件(金額は不明)でした。

記載内容 件数
定性情報等 3
注記(未適用の会計基準 1
注記(影響は軽微、費用計上なしと思われる) 5
注記(影響は軽微、費用計上あり) 1

日本基準以外の適用が多く、関係してそうな国はフランス、韓国、マレーシア等です。

つまり、現時点では費用の計上事例はほぼないということですね。
(検索ワードが悪いという説はあります)

→実務対応報告46号で検索したら104件、グローバル・ミニマム課税では264件ありました。

 

まとめ

  • 日本で適用が無くても、グループ内にGMTの適用開始している国・地域に所在する会社がある場合には、課税の可能性を検討をした方が良さそう(必要に応じて見積計上or注記対応を検討)
  • 未適用の会計基準の記載忘れに注意

 

今回参考にした外部サイト

↓この資料は、非常に参考になりました。おすすめです。

www.meti.go.jp

【BEPS2.0】促される連結マネジメント グループベースの課税と財務報告

グローバルミニマム課税税制(GMT)における地殻変動

ベトナムにおけるグローバルミニマム課税に関する草案の公表

主要国におけるBEPS2.0アップデートシリーズ6 オランダではGloBEルールによる日本企業への影響は限定的であると考えられる

主要国におけるBEPS2.0アップデートシリーズ3 シンガポールでは優遇税制の有効性が制限されるも交渉で打開を図る

実務対応報告第46号「グローバル・ミニマム課税制度に係る法人税等の会計処理及び開示に関する取扱い」等の公表|企業会計基準委員会

改正実務対応報告第44号「グローバル・ミニマム課税制度に係る税効果会計の適用に関する取扱い」の公表|企業会計基準委員会

 

防衛特別法人税(仮称)を反映した実効税率を試算してみた

こんにちは。

前回、令和7年税制改正で防衛特別法人税(仮称)が導入されたら実効税率をいつ変更すべきか、というブログを書きました。

 

mochiinmonaka.hatenablog.com

 

この記事で、なんとも適当に実効税率を算定してしまったので、もう少し真剣に算定してみました。
税制改正大綱を見てざっと試算した段階なので、参考程度にご覧ください!

現在の実効税率の式はこちらです。

実効税率=(法人税率×(1+地方法人税率+住民税率)+事業税率+特別法人税率)/(1+事業税率+特別法人税率)

実効税率(現在)

特別法人税率は法人税の4%なので、地方法人税率と同じかっこの中に入れます。
損金算入はできないと仮定して、分母には追加しません。
法人税額から500万円控除する決まりは無視します。

できた式がこちらです。

実効税率=(法人税率×(1+地方法人税率+住民税率+防衛特別法人税(仮称)率)+事業税率+特別法人税率)/(1+事業税率+特別法人税率)

実効税率の予想式(防衛特別法人税(仮称)導入後)

東京都の外形標準適用法人(超過税率)=現在30.62%と仮定して、防衛特別法人税(仮称)以外現在のままで数値を入れてみます。

0.31519=(0.2320×(1+0.1030+0.1040+0.04)+0.0118+0.01×2.60)/(1+0.0118+0.01×2.60)

実効税率の予想式(防衛特別法人税(仮称)導入後)に数値導入

31.52%程度になります。30.62%から31.52%なので、0.9%アップですね。

東京都の外形標準課税不適用法人(超過税率)では、現在34.59%→35.43%程度で0.84%アップになります。

標準税率だけで算定すると、現在29.74%→30.64%程度で0.9%アップになります。
総じて、0.9%程度上がりそうですね。

 

区分

東京都の外形標準適用法人
(超過税率)

東京都の外形標準課税不適用法人
(超過税率)

標準税率
改正前 30.62% 34.59% 29.74%
改正後(試算) 31.52% 35.43% 30.64%

 

どこか大手法人あたりで正確な数値が出たら、答え合わせしたいと思います。

 

この記事のまとめ
  • 防衛特別法人税(仮称)の創設で、実効税率は0.9%程度アップしそう
  • 東京都の外形標準課税適用法人(超過税率)では30.62%⇒31.52%と試算しました!

 

KPMGさんがすでに出してくれていました!https://assets.kpmg.com/content/dam/kpmg/jp/pdf/2024/jp-tax-newsletter-20241226.pdf

 

今回参考にしたウェブサイト

実効税率30.62%の計算トリック(2023年/2024年度版) | ベンチャーインク会計事務所 | 外資・外国法人・ベンチャー専門

 

令和7年度税制改正大綱はこちら

経済成長と豊かさが実感できる税制へ令和7年度与党税制改正大綱を決定 | 政策 | ニュース | 自由民主党

 

税効果会計の税率変更タイミングを考える(令和7年度度税制改正大綱)

この記事のポイント

令和7年度税制改正で創設される防衛特別法人税(仮称)の影響で実効税率が変更される見込みです。2025年3月以降の決算(中間・四半期含む)では繰延税金資産・負債の計算に利用する実効税率に注意が必要です。分類1の会社もですよ!大変!

 

この記事は個人の見解を記載しています。情報を実務に適用される際は、参考に留めていただき、ご自身でソース元等を確認して利用してください。


令和7年度の税制改正大綱が公表されましたね。
経済成長と豊かさが実感できる税制へ令和7年度与党税制改正大綱を決定 | 政策 | ニュース | 自由民主党

 

防衛特別法人税(仮称)が創設されることになりました。
ざっくりというと、法人税の納税額に4%の付加税が課されるようです。
実効税率は東京都の外形標準適用法人で30.62%×1.04≒31.84%程度になるのでしょうか?法人税率だけに影響するので、もう少し小さいですね。 31.52%と試算しました!記事はこちら

 

いずれにせよ、法人税実効税率が変わります。
令和8年4月1日以後に開始する事業年度から適用ということで、3月決算会社であれば2026年度(2027年3月期)から、12月決算であれば2027年度からとなります。

 

が、
繰延税金資産の修正は、それより前の決算期から必要です。

 

繰延税金資産・負債については、回収又は支払いが行われると見込まれる期の税率に基づいて計算するものとされています。
このため、3月決算で2026年度(12月決算では2027年度)以降に回収又は支払いが見込まれる繰延税金資産・負債については、防衛特別法人税(仮称)を考慮した実効税率にする必要があります。
スケジューリング不能差異にも税効果会計を適用している、いわゆる分類1の会社でも、減価償却費等について、スケジューリングをして適用税率を段階的に変更する必要があります。

3月決算の東京都の外形標準適用法人で例えると、2025年度までに回収される繰延税金資産は30.62%、2026年度以降に回収される繰延税金資産は31.84%(仮計算)で計算する必要があります。

税効果会計に係る会計基準

第二、二、2
繰延税金資産又は繰延税金負債の金額は、回収又は支払が行われると見込まれる期の税率に基づいて計算するものとする。

(注6)税率の変更があった場合の取扱いについて
法人税等について税率の変更があった場合には、過年度に計上された繰延税金資産及び繰延税金負債を新たな税率に基づき再計算するものとする。

 

では、この対応はいつから必要でしょうか?
税効果会計の適用指針では繰延税金資産・負債は「法人税法等に規定されている税率」で計算するとされています。つまり、決算日に国会で成立している税率を使用します。
ちなみに、決算後に成立したとしても影響を注記しなければなりませんので、準備は必要です。

 

例年のイメージでは3月下旬には国会で成立するため、3月決算会社では、2024年度の決算から対応が必要と予測されます。大変!

四半期決算と中間決算についても、基本的には年度決算と同じ税率を利用しますので、3月決算以外の会社も、税法の成立後の決算では対応が求められます。12月決算会社であれば、2025年度の第1四半期(3月度)からと予測されます。油断できません!

 

企業会計基準適用指針第28号 税効果会計に係る会計基準の適用指針

46.  法人税及び地方法人税について、繰延税金資産及び繰延税金負債の計算に用いる税率は、決算日において国会で成立している法人税法等(法人税及び地方法人税の税率が規定されている税法をいう。以下同じ。)に規定されている税率による。

64.  第45 項から第52項による税率を用いて決算を行い、かつ、決算日後に当該税率の変更を伴う法律が成立した場合、税効果会計基準 第四 4.に従って、その内容及び影響を注記する。

 

というわけで、まとめです。

この記事のまとめ
  • 大綱によると令和7年度税制改正で防衛防衛特別法人税(仮称)が創設される予定
  • 2025年3月中には国会で成立しそう
  • 2025年3月中に国会で成立した場合、2025年3月決算から繰延税金資産・負債の計算に用いる税率に注意が必要、回収時期によりスケジューリングも必要
  • 仮に2025年4月に国会での成立がずれ込んでも注記が必要となるため、早めに準備しよう
  • 四半期決算、中間決算でも同じ!

 

繰延税金資産の税率変更については、詳しくはこちらのEYのサイトが参考になります。
さすがの太田達也先生!
ただ、掲載日が古いため、適用する税率が「公布日」ベースになっています。
税率変更による繰延税金資産の修正に係る論点 | EY Japan

 

税理士法人等からいろいろと解説が出るのが楽しみです。
まだ検討できていませんが、新リース会計基準の税効果も気になりますね。

 

気が付いたことなどありましたら、ぜひコメントください。

それではまた!

追記 実効税率を試算しました

mochiinmonaka.hatenablog.com